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エルピス犬舎のブログ

. ボロニーズの体臭について,今年の最後に・・・。

 ボロニーズは体臭も少なく、飼いやすい犬です。しかし、臭いが無いわけではありません。たくさんのボロニーズと過ごしていると、ひとりひとり体臭が違うことに気づかされます。年末、体調を崩して救急病院に行き、深夜に帰宅して、ボロニーズたちみんなの臭いがする部屋に戻ったとき、本当にホッとしました。この臭いにも、ボロニーズの健康管理において大切な意味があります。
 ボロニーズの臭いというときに、大きく分けて、①体全体からの体臭、②肛門線、口、耳など体の特別な場所からの臭い、③糞尿からくる臭い、があります。
 ①体全体からの体臭については、犬と人間では汗腺の分布が全然違うそうです。汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類があり、体温の調節をするようなサラッとした汗を分泌するエクリン汗腺は、人間では全身にありす。しかし、犬では肉球にしかないのです。そのため、犬は汗によって体温調節をすることができません。他方、アポクリン汗腺は、皮膚や体を守るための皮脂が多い汗を分泌します。人間では脇の下などにしかないのですが、犬では全身にあります。
 このため、犬の体臭というのは、この皮脂による臭いが大きいと言えます。犬種によって臭いの多い犬種と少ない犬種があると言われます。その原因のひとつは、形態的に顔にしわが寄っていたりして皮脂やその臭いが貯まりやすいということが考えられます。また、ダブルコートの犬種よりシングルコートの犬種の方が臭いが少ないと言われますが、これは、シングルコートの犬種の方がどちらかというと南よりの犬種で、ダブルコートの犬種の方が北よりの犬種だと言うことがあるのでしょう。より寒い地域で生まれ育つ犬種の方が、よい多くの皮脂を分泌して体や体温を守る必要があります。その犬種的傾向は、住む場所が変わってもすぐには変わりません。また、犬種として猟犬タイプで、場合によっては水の中に獲物を捕りに入っていかなければならないような犬種には、水から体を守るために、皮脂の分泌が多い犬種があるようです。
 食べ物を変えると体臭が変わります。その変化は劇的と言っても良い程である場合があります。うちの子はどうしてボロニーズなのにこんなに体臭が強いのだろう、ということがもしありましたら、フードを見直すということを考えても良いのかも知れません。また、脂質やタンパク質の多いフードやおやつ(ジャーキーなど)のあげすぎでも体臭が強くなります。また、水分をとる量が少なくても限られた水分で体の老廃物を排泄しようとして、濃い皮脂分の多い汗を分泌してしまいます。体調が悪くなっていると、体臭が変わってくると言うこともあります。ボロニーズの場合には、高タンパクの食べ物は、すぐにBUNの値を上げてしまう危険性もあります。BUNが高いことが、腎不全を起こすきっかけとなってしまうこともあります。嗅ぎ慣れた(?)愛犬の臭いが変わったら、食べ物はどうかな、水はちゃんと飲めているかな、など注意深く体全体の調子を見てあげると良いでしょう。
 ②だっこしてあげながら、鼻をくんくんとして臭いをかいであげると、急に口の臭いがするようになることがあります、この口のことは、また次回のブログで書きたいと思います。
 耳の近くで臭いが強くなったら、耳の状態をチェックします。ボロニーズは耳の穴が普段覆われてますので、蒸れてしまって耳の中の状態が悪くなって臭い始めることがあります。マラセチアなどの耳の中にもともとある菌が繁殖して臭いを発したりします。早めに気づいて、耳の中のクリーニングをしてあげられると良いでしょう。
 ③もちろん糞尿の臭いも、健康チェックのためには大切な要素です。たくさんのボロニーズと過ごしていても、便の臭いで、あの子だ、と分かることがある程です。健康状態、食べているもの、飲んでいる薬などで、他の子と違う臭いになるのです。

 大切のボロニーズのために、目だけではなく鼻も使って、健康を支えてあげられると良いですね。


2014年も残すところわずかとなりました。
本当に色々なことがあった一年間でした。
犬舎のメールフォームから、多くの方達との出会いが与えられ、日本のボロニーズの飼い主様達の優しい心にふれあう時を与えられ感謝でした。

方や日本の各地で盛んに行われる様になったボロニーズの集まりですが、悲しい思いをされた方も少なくなく、また愛犬に、知らないところで乱暴を受けたとの、ショッキングなお話を伺って絶句するような思いを与えられ、残念でした。

ただただ私共が願うことは、日本に住むボロニーズ達がみんな稀少犬としてのリスクを持ちながらもそれを乗り越えて健康に幸せに生きられるようにと言うことです。

来年も、そのことを大切に思いながら、一歩一歩誠実に歩んでいきたいと思います。

犬舎を応援し支えて下さった多くの方々に心より御礼申し上げます。
新しき年も皆様にとって素敵な一年となりますようにお祈り申し上げます。
 

. アジソン病について

 アジソン病とクッシング症候群という対照的な病気があります。どちらも副腎皮質ホルモンに関係する病気ですが、そのどちらについてもボロニーズの症例が報告されています。アジソン病は副腎皮質機能低下症で、副腎からのホルモンが減少してしまう病気です。副腎というのは、腎臓の上に位置する小さな臓器ですが、大切なホルモンを何種類か分泌しています。この病気のリスクの高い犬種として一般的には、グレートデン、(スタンダード)プードル、ウェストハイランドホワイトテリア、ビーグル、コリー、ロットワイラーなどがあげられています。
 アジソン病の原因はいくつか考えられます。
 ①副腎自体が腫瘍その他の原因でダメージを受けてホルモンの分泌が減少してしまう場合。
 ②自己免疫性疾患で自分の免疫によって副腎皮質が攻撃されダメージを受けてしまった場合。
 ③医原性と言われますが、長い間副腎皮質ホルモン剤の投与を受けていて、その薬をやめたことによって起こる場合。
 ④副腎皮質にホルモンを分泌するように指令を発する部分である下垂体や視床下部の異常で、ホルモンが減少してしまう場合。
 飼い主として知っていなければならない大切なことは、アジソン病はこの症状があればほぼ「アジソン病」だといった症状があるのではなく、本当にいろいろな体調不良が起こってくるということです。食欲が無くなったり、元気もなくじっとしていたり、眠っていることが多くなったり、下痢や嘔吐、体重が減ってしまったり、急に水を飲む量が増えたりすることもあります。怖いのは、急性のアジソン病の場合には、最悪ショック症状を起こして死んでしまうこともあります。急性の場合には、電解質バランスを取り戻すために生理食塩水の輸液などの処置を早急にすることが必要です。
 ただ、きちんと治療を受けて、急性期を乗り越えることができれば、あとは、足りない分のホルモンをお薬として生涯服用していくことで、犬生をまっとうすることができます。しかし、ストレスが原因で症状が悪化することがあります。ストレスに対して弱くなってしまうのです。ですから、できるだけ生活の中で人間本位にならずに、ストレスを軽減してあげることが大切でしょう。一概にストレスを与えないと言っても、そこで注意すべきことは多様です。特に、とても感受性が高いボロニーズですから、大切に考えることが必要でしょう。あまり旅行などに連れ出さないとか、環境を変えない、急に給餌を変更したりしないということも大切でしょう。また、場合によっては治療のための入院がかえってストレスになって病状を悪化させることさえあります。
 この病気についても、早期発見、早期治療が大切です(多くの病気がそうですが)。上記のような症状が見られたら、とにかく病院に受診し、一般血液検査、生化学検査を受けてみましょう。電解質の異常やリンパ球増加症、好酸球増加症など、アジソン病の可能性が大きくなった場合には、 ACTH刺激試験というような検査(クッシング症候群の検査でもあります)をして、確定診断に近づけていきます。

. 門脈シャントとその対応・・・ボロニーズの場合




門脈シャント(正式には「門脈体循環シャント」)という病気で手術を受けたことなどを、ボロニーズの飼い主様から聞いたりいたします。ホームページにも書いていますように、ボロニーズはその犬種的特徴として、肝臓にを大切にすることが必要だと考えています。 この肝臓に関連して見られる問題のひとつが、この「門脈シャント」です。肝臓およびその周辺で、血管のシャント(近道)ができてしまって(いて)、本来肝臓を通過すべき血液が、直接心臓の方に流れていってしまうのです。体の中を流れてきた血液には、多くの栄養素を持って肝臓に流れ込みます。そこで肝臓を育てると同時に、肝臓で解毒(アンモニアなどを無毒化します)されて、きれいになった血液が体全体に流れていきます。そのように肝臓に流れ込むべき血液が、近道を通って、解毒されないまま体の中に流れていってしまうのです。

 門脈シャントには肝臓内門脈シャントと肝臓外門脈シャントがあります。胎児の時には母親から栄養をもらって成長していますので、肝臓を経由する必要がありません。そのためにあったバイパスのような血管は、生まれると短期間の内に閉じてしまいます。ところが、その血管が閉じずにバイパスとして働き続けてしまうと、肝臓内門脈シャントになってしまいます。これは、大型犬に見られる門脈シャントです。この肝臓内門脈シャントは、手術をすることもできず、基本的に治療が難しいものです。

 大型犬から小型犬にまで見られる肝臓外門脈シャントは、本来は、血液がどんどん流れるようなバイパスで結ばれているはずでない場所、歩行者ひとりが歩けるていどの細い道しかないはずのところで、車が走れるような道になって血管どうしの間に、ある程度のバイパスができてしまっている状態です。

 このような門脈シャントは、その多くは先天的なものです。遺伝的要素もあるのではないかと指摘する獣医師も居ますが、現在の獣医学に置いては断言はできないそうです。肝臓内シャントを含めて、健康に深刻な影響を与えるようなシャント血管が先天的にある場合には、子犬期の検査で相当の確率で分かります。当犬舎では、獣医師の指導を受け、先日のブログにも書きましたように、3ヶ月を過ぎての送り出しとし、送り出し前に、血液検査によるアンモニア値、総胆汁酸の測定、TBA検査など、門脈シャントの可能性があるかどうかをチェックしています。また、レントゲン検査によって、肝臓の大きさを調べ、門脈シャント特有の肝臓の影像、「ティアーズドロップ現象」がないかどうかも調べています。今までには、これらの検査でひっかかった子たちはおりません。

 後天的に、シャントになってしまうこともあります。この場合も、突然新しく血管が生まれるのではなく、それまで細くて影響の無かった血管が太くなって、血流を変えてしまうと言うことです。飼育給餌の問題も含めて、高血圧の状態が続いたり、部分的に血管にかかる圧が増してしまったりということで、その圧の逃げ場として細かった血管が太くなってしまったりします。造影CTの検査をすると、(特にCTを見るプロの先生が見ると)この部分は大きな異常は無いし、今はCTで見つけられるシャント血管はないけれども、ふつうよりも血管が蛇行しているので、この部分で血管の圧が高くなっていると思われる。その周辺の細い血管が太くなってしまい、シャント血管になってしまわないか、注意が必要というようなケースもあるそうです。後天性のシャントで一番深刻なのは、肝硬変といった肝臓の疾患でシャント血管が一気に増加してしまうと言うこともあるということです。

 

 門脈シャントと一口で言っても、その状況は千差万別です。シャント血管でどれだけの血流が肝臓を通らずに体内に送り出されているか、また肝臓にどれだけの血流が流れ込んでいるかなど、ひとつひとつのケースで違います。門脈シャントの影響で様々な症状が現れてしまっているという場合もあります。食事が食べられず、嘔吐し、体も成長せず、痙攣が生じたりする。ひどいときには肝性脳症になってしまうこともあります。このような場合には、手術(開腹手術をしてシャント血管を結んでしまう)などの可能な処置を模索せざるをえないでしょう。しかし、シャント血管はあっても、検査結果はそれほど悪くない、症状も全くない、という場合もあるのです。門脈シャントがあるのに、造影CTなどを撮らないことの方が普通ですので、そのことに全く気づかずに犬生を全うした子たちもたくさんあるという門脈シャント専門獣医師のお話しです。 

 何でもそうですが、ケースバイケースということで、一概に門脈シャントについては、こうすべきであると言うことは難しいといういのが、私どもが指導を受けてきた、獣医師たちの見解です。特にボロニーズをずっと診てきて下さった獣医師たちが、とにかく、その子が元気で歩んでいけるように、よくよく状態を見極めて、最善の判断をしなければいけないと言われるのです。

 ボロニーズに置いていろいろな症状が出ていて、検査の結果、その原因が門脈シャントであることが分かり、しかも、手術も成功して麻酔の影響もなく、予後も良い、ということであれば、それはとても良かったことだと思います。治療して下さった獣医師たちの技術が高かったと言うこともできますが、その上で、とてもラッキーだったと言えるでしょう。
しかし、無症状であるのに、検査検査と心配し検査から受けるボロニーズにとってはとても大きいリスクを受けさせ、またそのような中でシャントが見つかったからと言って、それを色々な危険を冒して手術することが、唯一の、正解の選択とは決して言えないのです。

ある人間の医師が、「門脈シャントの診断が必要なのは高アンモニア血症を呈している動物だけです。高アンモニア血症が無いのに診断する必要はありません。高アンモニア血症が無いのに門脈シャントによる症状はありません」と書いておられます。門脈シャントの確定診断のためには、全身麻酔での造影CT検査が必要です。ボロニーズにとって、この、麻酔のリスクも考えると、この人間の医師の指摘もまた、聞くべき言葉だと思いますし、私どもが指導を受けてきた獣医師たちの意見も基本的に同じでした。

 この「門脈シャント」についても、ネット上に様々な情報が流れています。ひとつの情報で判断するのではなく、さまざまな情報を受け止めて、よく知っていることが大切でしょう。動物病院の待合室でお話を聞いていると、この病院に来るまでに、誤診をされて、かえって具合が悪くなってしまって、今となっては回復に本当に苦労しているというようなことを聞くのです。ボロニーズの飼い主が、ボロニーズについて知り、病気のことについて知り、獣医師任せではなく、獣医師と協力して愛するボロニーズを支えてあげることができたらばと思います。

. ボロニーズ・・遺伝性疾患と遺伝子疾患と先天性疾患について

 今日は、遺伝性(遺伝子)疾患と先天性疾患と言うことについて、書いてみたいと思います。健全なボロニーズを送り出したいと願っている私どもにとって、この問題は大変重要な課題です。必死に取り組んでいる課題なのですが、様々なブログやホームページを見ていると、様々な誤解に満ちあふれいているように思います。
 まずは、遺伝性疾患=遺伝子疾患=先天性疾患(全部イコールで結びつけてしまう)という誤解があります。とても単純に言えば、遺伝子疾患は遺伝子が原因になっている疾患のことです。遺伝性疾患はその遺伝子による疾患が親から子のように受け継がれて生じる疾患のことです。そして、先天性疾患は原因が遺伝子によるものも、その他のものも含めて、生まれながらに原因を持っていて発症する疾患のことです。この三つの言葉は、全く違った内容(強調点)を持っていると思うのですが、不注意に混同して用いられているのではないかと思うのです。
 ボロニーズを愛する者として遺伝性疾患についても学んでいると、いろいろなことを教えられます。たとえば、それまで簡単に遺伝性疾患としてひとくくりにしていたものが、その疾患が遺伝されるシステムまで解明されている疾患から、よくは分からないが、遺伝性であることが疑われるというものまであることを知らされます。また、これまでは遺伝要因などあまり関係がないと思っていた病気にも、遺伝要因が深く関わっていることも教えられます。人間についても、これまであまり遺伝要因と結びつけられなかったウィルス感染でも、同じウィルスに感染しても死亡する人があるかと思えば、発症さえしない人もいるということで、それは、遺伝要素である免疫力、体質というような遺伝要因が大きく関わっているというのです。虚血性心疾患,本態性高血圧,糖尿病,骨粗鬆症,神経変性疾患,老年期認知症などの成人病、生活習慣病と呼ばれている病気も、生活習慣だけではなく、遺伝要因も深く関与しているということで、多因子遺伝疾患(遺伝的要因とその他の要因が相互に作用して発症する疾患)に位置づけられるようになっていると言うことなのです。
 遺伝子疾患のひとつの形は、遺伝子になんらかの異常が生じて、そのために生じる疾患ということですが、遺伝子の異常は突然起こることもあります。人間の世界でも薬害、公害病、枯れ葉剤の影響など様々な例があります。母体の飲酒・喫煙や、病気、服薬が残念ながら胎児に影響を与えることもあります。また、原因は全く不明であることも大変多いのです。わんこの先天性疾患、遺伝子疾患においても、このように遺伝性ではなく、突発的なものがあります。
 このような遺伝子疾患、先天性疾患の中で、先祖から子孫へと明確な疾患として受け継がれてしまう遺伝性疾患を、ボロニーズの中からできるだけ少なくすることを、願い続けなければなりません。そのことを願って、たとえば、私どもは生後90日以降に子犬を送り出すことを大切にしてきました。生後三ヶ月までで先天性疾患があるかどうかが、ある程度まで分かります。また、肝臓のことを考え、アンモニアの検査だけでなくTBA検査もしています(検査して頂いている獣医師からは、「TBA検査までして子犬を送り出すところは初めてです」と言われました)。そもそも、これも繰り返し書いていることですが、そのために、必死の思いで海外からボロニーズを輸入してアウトクロスによるブリーディングを続けてきました。このような必死の願いを受け止めて、輸入の仲立ちをして下さった方も、商売を越えて良い犬舎とボロニーズを探して下さいましたし、海外の犬舎も、思いを汲んで遠い日本に愛するボロニーズを送り出して下さいました。本当に多くの方々の支えがなければ、遺伝性疾患のリスクを減らしてボロニーズを送り出すということはできないことなのです。
 このブログで繰り返して書いているのは、犬種的傾向ということです。いろいろな犬種について、この犬種はこの病気になりやすい傾向がある、ということが言われます。犬種的傾向はその犬種が持っている遺伝子要因とも言えるでしょう。その遺伝子要因を理解して、その他の要因との相互作用で疾患を生じさせないように、きちんと飼育していくことが本当に大切なことなのだと思っているのです。特に、稀少犬であり、絶滅の危機を乗り越えてきた犬種ですので、特に、この犬種的傾向、遺伝子要因を学びながら、大切なボロニーズが生涯健康で過ごせるように、してあげられたらばと心から願います。

. 「不整脈」について。

ボロニーズを含めた小型犬には、大型犬と比べて「不整脈」が見られることが多くあります。ただ、通常はこの不整脈について実は頻発しているにもかかわらず、気づく手だてがあまりありません。避妊、去勢手術の時に、また他の疾患が見つかって手術をしたりするための検査として心電図を取ったりしたときに、発見されることが多いというのが実際です。あるいは、術前検査などでは、前回のブログにも書きましたように、5秒とか30秒の心電図ですから、そこでは不整脈があってもキャッチされない事が多々あります。しかし、手術を行うときに、きちんと手術中に心電図をモニタリングしてくださる病院であるならば、不整脈が生じていることに気づくと言うことがあります。
 この不整脈ですが、「犬の不整脈は心配しなくて良いですよ」と簡単に言われる方もありますが、どうも、そんなに簡単ではありません。「不整脈」にもいろいろな種類(原因)があります。不整脈の種類によっては、「突然心臓が止まってしまう」という危険性もあり、そうなってしまってはもう手の施しようがありません。愛するボロニーズが突然死なんて、そんな恐ろしいことは防げるのであれば、防いであげたいと思うのです。
ボロニーズと言う犬種の場合「先天性疾患としての心臓疾患」はあまり多くはなくむしろボロニーズで多く弱いと言われる臓器は肝臓ですが、この「不整脈」については、ボロニーズについての報告があります。
 不整脈の原因としては、当然の事ながら、心臓を初めとした循環器系の病気が考えられるだけでなく、他の内臓の病気、どこかに腫瘍がある、何らかの理由で血圧が急に変化するなどなど、本当に多くのものが考えられます。ですから、ひとつの「不整脈」という症状でも、原因をしっかり追求して、獣医師にお薬を処方して頂くことが必須のこととなります。「不整脈」について原因を突き止めることなく、誤った処方をしてしまうと、かえって薬を服用したことで体調が悪化してしまい、最悪の事態では命にさえ関わるという危険があるのです。
 そのため、その「不整脈」が問題の無いものなのか、治療すべき「不整脈」なのか、またどのような「不整脈」で原因は何なのかを、探っていく必要があります。
 といっても原因を特定すること自体が大変難しいため、ひとつの実際的な考え方は、消去法ということになります。ここでも、このブログでいつも記します犬種的特徴と言うことがあります。大型犬では、拡張方心筋症などの心筋症を疑う必要があります。特にボクサーという犬種ではボクサー心筋症と呼ばれる程でありますから、この可能性を消去することはできません。しかし、ボロニーズについてはビション、4系統の中の1犬種ですから、犬種的傾向として「心筋症」と言うことについては言いにくいと言うことがあります
 心臓に明らかな問題があるかどうかを知るひとつの方法はエコー検査です。この検査で心臓の弁の問題、血液の逆流などが起こっているかを知ることができます(エコーについても、高度な医療機器と、エコーを正確に読みとることのできる獣医師と言うことが問われます。)。また、心臓の問題と言うときに、今記した弁などの問題、心臓を動かす信号の伝わり方の問題、そして、心臓の筋肉自体の問題などが考えられます。この心臓の筋肉自体に問題が生じているかどうかは、「トロポニンI」というタンパク質の血中濃度を調べます。これは、人間の心臓疾患の診断のために近年用いられている方法でもあります。この数値が基準よりもひどく高い場合には、心筋に何かの傷害を受けている可能性が高いことになります。
 一般血液検査などから、他の内臓疾患の可能性を消去していくことも大切なことでしょう。しかし、腫瘍が体内にあるかどうかなどを含めて、身体全体について完全にその可能性を消去することは現実的にはできないでしょう。この可能性は低いのではないか、という形で消去していくことになるでしょう。
 もうひとつ大切なことは、これは消去法ではなくて、実際に起こっている「不整脈」がどのような「不整脈」であるかを、きちんとキャッチすることです。そのためには、具体的には、72時間ホルダー心電図という検査の可能性があります。電極を体につけ、ジャケットを着用し、そのジャケットの中に心電図計を収めて3日間心電図をとり続けます。あわせて、この時間は何をしていたか、様子はどうであったかなどを記録していきます。この連続してとり続けた心電図を解析して頂き、どのような「不整脈」であるかを判断して頂くのです。このホルダー心電図ですが、最近は大学病院だけでなく、所持している動物病院が増えています。おそらく、循環器を専門に勉強してこられた先生がおられる病院には用意されているでしょう。心電図はそれを解析する獣医師が、どれだけ多くの症例に触れ心電図を読んできたかということが最も大切です。心臓専門(循環器)で経験豊かな優秀な先生にみて頂くことが、この「不整脈」については最も必須のこととなります。同じ心電図を見ても、そこから読みとる情報が全く違うからです。ですから、循環器専門の優れた先生のおられる病院で受診し、必要であるならば、検査をして、たとえばホルダー心電図の解析をして頂くことが大切でしょう。
 このようにして、さまざまな角度からアプローチしていただき、不整脈が治療の必要なものかどうかを判断して頂き、また、その原因についても特定、あるいは可能性を絞って頂き、それにあった処方、あるいは治療をして頂く、ということが最も大切です。
 普段はあまり意識しない「不整脈」ですが、術前検査などで「不整脈があるようです」と言われたようなときには、このブログを思い出して下さったり、また加齢などで、心臓弁膜症などを持病に持つボロニーズと生活しておられる方がいらしたら、「不整脈」についても獣医師にたずねてみるなど、大切なボロニーズが突然死をしないために、最善のことをしてあがることができたらばと願います。

実は先日、日本では大変有名な「循環器」の名獣医師であられる藤井洋子先生のお話を伺うチャンスを与えられました。
そのお話しを基に本日のブログも記しました。

以下、ボロニーズの飼い主として知っておくと便利な循環器についてのお話しをまとめます。

1,心電図を撮ることによって、犬の心臓の状態を6方向から診ることができます。それによって、右心房右心室、左心房左心室のどこに異常が現れているのかを知ることができます。

2,「不整脈」が単発にみられるだけでは、その不整脈が、問題のある「不整脈」かどうかは分からないそうです。長めの心電図をとって、上方向にも、下方向にも、異常な波がみられたり、連続して「不整脈」がみられたりする場合には、それぞれの「不整脈」に対応するお薬を処方するそうです。

3,「不整脈」の性格をきちんと理解した上で、その「不整脈」にきちんと適応する処方をしないと、かえって「不整脈」を悪化させてしまうことがあるそうです。


(「不整脈」に対する処方の種類は選択肢が多いので、専門家でないと的確に処方はできないと言う面が多分にあります。)

今回は、「不整脈」と言うことに絞ってブログを記しましたが、また機会があれば先生から伺ったお話を基に循環器について、他方面から記したいと願っております。

. 麻酔について・・・ボロニーズの場合

ボロニーズを家族に迎えて、まず最初に、乗り越えることと言ったら、避妊手術、去勢手術、でしょう。家族になって最初に乗り越えるべき難関となるでしょう。生まれて初めての「麻酔」という事を経験し乗り越えなくてはなりません。あるいは加齢に伴って疾患が発現したときには手術でなくても、例えばMRIをとると言うような検査のときにも全身麻酔が必要になりますし、歯石を取るといった歯科処置でも全身麻酔が必要になることが多くあります。

 これまでもブログで書いてきたように、稀少犬であるボロニーズには繊細さがありますので、この麻酔についても、ある程度の知識を持っていて、麻酔のリスクを減らすことができるように、心の準備をしておくこと、また家族であるボロニーズに、それを乗り越えられるような健康上の備えをしてあげることが大切だと思います。とっさの時には、あらかじめの知識がないと、獣医師の説明も耳を通り抜け、理解もできず、確認すべきことさえも確認し損ねてしまうなどということが起こってしまいがちだからです。

 手術などでは、基本的には麻酔前の薬(鎮痛、鎮静などのための薬)、麻酔導入のための薬(わんちゃんに麻酔をかけるために静脈内投与されます。)麻酔薬(吸入麻酔で麻酔の状態を維持していきます。)というような流れで、麻酔状態を作り出し維持して手術などが無事に行われるようにします。

 しかし、この麻酔には必ずリスクが伴います。使われる薬によって呼吸を抑制してしまう可能性の大きな薬があるかと思えば、心臓に影響を及ぼし、低血圧や不整脈を起こしてしまうリスクの大きな麻酔薬もあります。

 また、動物病院で麻酔導入のために使われる最も一般的な薬はプロポフォールという薬ですが、この薬には添加物として精製卵黄レシチン及び大豆油が使われています。そのため、大豆あるいは卵にアレルギーがある子には使うことができません。(ちなみにこのプロポフォールというお薬ですが、今年の夏前に東京女子医大病院で使ってはいけないと定められていたのに、小児にこの薬を使って12名が亡くなってしまったということで話題になった薬でもあります)。このプロポフォールという薬は麻酔の効きが早く、また醒めるのも早い、とても優れた麻酔薬で、最も一般的に用いられる薬ですから、こちらが何も言わなければ、麻酔導入薬として使われる可能性が高いものです。もし、何も気づかずにプロポフォールを使い、大切な家族であるボロニーズに大豆アレルギーや卵アレルギーがあったならその反応として、アナフィラキシーショックを起こしてしまう場合もあります。このリスクを減らすためには、やはり、あらかじめアレルギー検査(リンパ球)反応検査をしてあげておくと言うことが必要でしょう。検査の結果これらのアレルギーがある、または疑われる、という場合には、そのことを獣医師に告げ、プロポフォールを使わないで欲しいとお願いすることが大切でしょう。

 麻酔の状態を維持するための吸入麻酔の代表的なものはイソフルランというお薬です。この薬剤は心臓に対する影響よりも呼吸を抑制する傾向の強い麻酔薬ということです。

 どの麻酔薬でも、リスクがゼロという訳にはいきません。このリスクは歯石を取るという小さいと思われる処置でも、癌などの大きな手術でも基本的には同じです(もちろん麻酔時間が短い方がリスクは少ないのですが)。必要のない麻酔は避けるべきですし、その処置が必要かどうかは、その子の年齢や持病その他、麻酔のリスクと天秤にかけて判断しなければならないことです。しかし、麻酔をただ恐れて、すべての手術や処置などをさけるというわけにも行かないでしょう。そこで、大切なことは、術前検査をきちんとしてくださる動物病院で処置をして頂くということでしょう。特に麻酔の影響が呼吸器系、心臓などの循環器系に出てくることが多いので、レントゲン、心電図、血液検査など、術前検査をきちんとしてくださり、また、当然の事ながら、処置中に心臓などのモニターを確認しながら行ってくださることを確認しておけると良いと思います。術前検査が簡単な病院は、お財布にはやさしいですが、麻酔のリスクと言うことを考えると後悔先に立たず、ということになりかねないように思います。術前検査も形だけしているというのでは困ります。心電図を取ったら、そこに表れてくる異常を見分けて、リスクをあらかじめ回避してくださるような力のある獣医師による、実質的な術前検査が必要でしょう。また特にボロニーズの不整脈は、一般心電図検査では発見されにくく、少なくとも、ボロニーズの場合には3分から5分の心電図検査が、できれば必要だと言われています。一般動物病院では、心電図の検査は数秒から数十秒が通常でそれ以上長くはとってもらえません。しかしだからといって極短い心電図検査しか行わず、異常が見つけられなかったために、そのまま麻酔をかけてしまって、命の危機にさらされてしまったボロニーズの症例も報告されています。

 大切な大切なかけがえのない家族ボロニーズです。そして、稀少犬としてとても繊細なボロニーズです。だからこそ、あらかじめのアレルギー検査や術前検査も含めて、その子の強さも弱さも把握してあげて、その子にあった、できるだけリスクの低い麻酔で、必要な処置ができるようにしてあげたいものです。それにはまず飼い主様の一人一人が、ボロニーズという稀少犬の犬種的傾向を把握してボロニーズと言う犬種の臨床経験がない獣医師とでも、きちんと知識を持って相談できるように、ボロニーズについての勉強をして、備えだけは早めにしておくことが大切ではないでしょうか。また、麻酔に伴って解毒の力を高めることができるように、無害で原材料が、ボロニーズにとって、よく吟味されたサプリメントを普段から与えていることも、少しでもリスクを減らすために、有効だと思います。

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